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逆さ毛ばりに垣間見えるWa・bi・sa・biの心 ~Tasteful imperfections~

Tasteful imperfections 
味のある不完全さ ~テンカラが持つ『わびさび』の世界~

by Craig Chambers


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私が初めて、“逆さ毛ばり”、を巻こうと思い立ったのは、Pfluegerの“Medalist”というリールをネットで検索していた時に、たまたま偶然、テンカラに関する情報の金鉱脈みたいなものを掘り当てたことがきっかけだった。そして、テンカラが持つ『わびさび』の世界に圧倒されてしまったことが、全ての始まりだった。

初めてAndrew Herd氏の”A Fly Fishing History”を訪れて以来、この3年間でテンカラの作法を学ぶために、実はたった一つのサイトしか見ていない。これも、『わびさび』の一つと言えるだろうか・・・。"My Best Streams"というサイトには、それほどたくさんの情報が存在した。

私が最初に見様見真似で巻いた『逆さ毛ばり』は、驚いたことに、後に藤岡よしかず氏の“My Best Streams”を読んでから、大よそ正しかったことがわかった。そして、このサイトを読破できたと思われる頃のことだが、伝統的なテンカラが包含する『わびさび』の世界を感じるようになるまでに、あまり多くの時間はかからなかった。
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日本人が愛し敬愛する“禅“に通じる美しい自然は、西洋人にとっても理解し易い。しかし、『わびさび』を理解するのはそう簡単なことではない。『わびさび』とは、ほとんど気づくことができないような、控え目で微妙なものなのである。
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『わびさび』が持つ『好んで質素を・・・』の美学と哲学は説明が難しい。侘人(わびびと)が好む“一汁と質素な着物”に起因する『わび』と『さび』、それぞれ2つの言葉自体は個別の明確な意味を持っている(例えば、universeと言えば、正確に宇宙のことを示すくらいに・・・(※訳者注:著者は宇宙ほど説明しきれないものはない、と逆に言いたいのではないかと思っているのだが真意はわからない・・・)、にもかかわらず、『わびさび』となると、英語に直訳できる単語は存在しない。
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『わびさび』とは、“貪欲”、そして、“皆と同じであること”、とは完全に対立するものである。不完全なものや儚いものが美しい、という考え方は、西洋人にとっては理解できなくもないが、しかし我々西洋人の価値観とは大きく矛盾する。
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フライを巻くための最も基礎的な技術だけで、伝統的な毛ばりを真似ることは比較的簡単なことである。しかし、『わびさび』の心を留意していなければ、決して本物にはなり得ない。『独創性と存在感』は、『わびさび』を持つ毛ばりにおいては極めて重要である。しかし、それとは反対にフライタイイングの際には、迷いのないデザインや適切なマテリアルを使用すること、は極めて熟考されるべきである。

バイスを用いず、もしくは、慣れ親しんだ専用ツールの使用を極力減らして、自らの手で巻く“逆さ毛ばり”。今では私は容易に、わずかに1本のハサミで毛ばりを巻くことができるようになった。“My Best Streams”に掲載されている丸山リキチ氏の毛ばりを見て、“専用道具を一切用いず、あぐらを組んで座り、足の親指を使って巻いた・・・”という記述を読んで以来、ずっと練習してきた。「自ら好んで質素さを・・・」という姿勢は、あえて、フライ専用のマテリアルや馴染みのある専用道具を用いることはない。この姿勢こそが、『わびさび』を毛ばりの中にしっかりと蓄積することとなり、『Tasteful Imperfection:味のある不可全さ』をもたらす絶好の機会を与えてくれる。
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以前は日本でさえも、“テンカラ”、は流行らない釣法だったという事実が面白い。このような“あえて皆と同じ道を辿らない”という考え方を持つ同志により、『わびさび』の観点からも面白い味付けがなされてきたと考えられる。

想像もできないような馴染みのない毛ばりだからと言って、決して、パニックにはならない。趣味の良い不完全さを受け入れることができた貴方のフライボックスは、きっと見事な『わびさび』パターンを持つ毛ばりで満たされることだろう。これは至極当然のことである。
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私が自身の手で巻いた“逆さ毛ばり”は、茶色のスレッドの糸巻を(彼女から・・・ ※訳者が勝手に加筆)勝手に拝借して巻いてみたのだが(結局、その糸巻は返さなかったが・・・)、“不完全さを楽しむ自由”、というものを満喫できた。そして今では、『わびさび』を楽しむことができる宝石箱のようなものに姿を変えてくれた。そして、私がかつて感じていたバイスを使わないことに関する全ての懸念点は、私自身の思い込みによって引き起こされただけであることに気付くことができた。
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『わびさび』を包含する毛ばりは、開放的で且つ創造的。これは、多くのテンカラ釣師がすぐに認めることだと思われる。完全主義者の一部の面々からは決して受け入れられないことかもしれないが、『わびさび』の悟りの境地での毛ばりタイイングは、実は簡単で価値のあるものなのである。
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私に多くの素晴らしき情報を与えてくれた、“My Best Streams”。それはTUSA(Tenkara in USA)以前に参照できたただ一つの英語ウェブサイトで、かつてないくらいのレベルで、私が必要とする全ての情報と常に多くのインスピレーションを与えてくれた。

最後に、このサイトのオーナーである藤岡よしかず氏に心から感謝を申し上げたい。
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‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

Acknowledgment

Dear John,
Thanks so much for your great help for making me better understanding on this article. I could notice small pieces of the meanings even in short sentences.

Dear Tokiko,
Thanks so much for checking my translation even you are not interested in any fishing … except eating!! :-p

Dear Anthony,
I really appreciate your approval to introduce this article on my blog. Also I added the link to your blog. Let me keep following on your blog. Please keep in touch.

Dear “Great Wabi-sabi Fisher” Craig,
Thanks so much again for your great article and photo !! I’m sure you would be like more Japanese than typical Japanese … I’m so surprised!!
“Hand tied Tenkara Kebari” has so many "Wabi-sabi tastes" however … not only your Kebari but also your fishing life also includes so many "Wabi-sabi tastes".
Please keep enjoying your fishing life and tight lines as always !!

信愛なる読者の皆様
兼ねてからのご案内の通り、非常に興味深い内容でしたので、無謀にも和訳に挑戦してみました。著者の真意を100%お伝えできている自信は全くありませんが、大筋はご理解頂けるものと思われます。お楽しみ頂けましたでしょうか?
実はこの著者であるMr.CraigもBlue Heronユーザーで、TroutやGraylingだけではなくZacco FFも楽しんでいる英国でも数少ない釣師の一人だと思います。愛竿Blue Heronが不思議な人と人との縁を作ってくれました。改めまして、Blue Heronさんに御礼申し上げます。

   Green Cherokee

‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

※オリジナルの英文は、Mr.AnthonyのBlogをご覧ください。




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Comment
こんばんは。
「わびさび」「日本人が愛し敬愛する“禅“」
西洋の人から見ると日本という国はそんなふうに見えるのでしょうか?
なんだか鼻のあたまがムズムズするような気がしますが、山中の渓でひとりイワナを追っていたりするとき、ひょっとしたらその片鱗を身にまとっているのかもしれませんね。
川を通して魚と自分だけが対峙する世界、極限まで簡素化されたその関係は万国共通なのでしょう。
翻訳おつかれさまでした。
こんばんは。
なにやら哲学的な内容ですね。
和式の毛鉤って西洋の人にはそんな風に見えるのかと感心しました。
逆さ毛鉤、私も以前使った事がありますけど、意外と巻くのが面倒な上に、毛鉤操作も難しいので最近は使わなくなりました。(^^;
こんばんは。
テンカラ発祥の地である日本人がフライフィッシングで山女魚、岩魚を釣り・・・
フライフィッシング発祥の地である西洋の方がテンカラでブラウンやレインボーを釣る・・・
なんとも不思議な?楽しいですね^^
西洋の人がもつ日本人のイメージと、日本人がもつ西洋の人のイメージとも共通するものがあるのかもしれませんね。

僕は、フライも和式毛鉤も特にこだわりなく、魚にとっての境界はないのかな…なんて考えます。
その時、その場所で、もっとも魚たちを誘惑する毛鉤を見つけ出し、使いこなせるような釣り人になりたいといつも思います。
こんにちは。
ふむふむ…コメントするのが正直難しいですね。多少まぜこぜの理解のような気もしますが、英国の方がこれほどまでに日本文化を理解しようとする姿勢に、嬉しさを感じました(^o^)/。
はたして、我々日本人がどれほど『わびさび』を理解しているか…自分も含め疑問ですね。
難しく考えずとも、英国のティータイムなんて、茶道に共通するところが、大いにあると思いますがね…何はともあれ大英帝国万歳!
 釣りは一匹と思っています。
 坊主と一匹雲泥の差があります。
 わびさびの世界は心の奥にあるような気がします。
 神社仏閣に参拝してキンキンキラキラよりも古いくすんだ仏像が、社が好まれるようなそんな気がします。
 茶道の道具立て接待にの心に見せるさりげないものが好きです。
 つまらないものですがと謙遜する心、話し方。
 これは最高にいいものだからと率直に伝える心配り。
 どちらも相手のことを思っての所作ではないかと思います。
 西洋と大和、流れる思いは同じなのかもしれません。

 でも、釣れるものなら釣りたいです。
wind knotさん、こんばんは。お返事が遅くなり申し訳ございません。
海外の方達が思う日本人の印象ってちょっとオーバー気味なのかもしれませんが、確かに我々は片鱗を身にまとっているのかもしれませんね・・・特に私は、日本っぽい景色にはついつい過度に吸い寄せられてしまいます。(^^ゞ
川を通して魚と対峙する世界・・・それが極限まで簡素化された境地を、クレイグさんはテンカラの逆さ毛ばりの中に見い出されたんですね、きっと!!
JICKYさん、こんばんは。お返事が遅くなり申し訳ございません。
テンカラ釣師でもあるJICKYさんからの情報はreal worldですので、とても貴重です。ありがとうございます!!もしかして、逆さ毛ばりって、もはや日本ではあまり使われていないのでしょうか・・・? 
けど、西洋人からしてみると、まさに、”見たことがないような毛ばり”、なのかもしれませんね。ここに、”侘び寂び”、の世界を見出したクレイグさん、日本人だと何気に気付けない感性で、きっと逆さ毛ばりを眺めていたんだと思います!!
しげさん、こんばんは。お返事が遅くなり申し訳ございません。
日本人がFly Fishing、西洋人がテンカラ・・・、これって面白いですね!! 一言でいえば、”万国共通で毛ばり釣りは面白い!!”、ってことですよね、きっと!!
西洋毛ばりも和式毛ばりも魚にとって境がない・・・私は和式毛ばりと使ったことはありませんが、まさにそうだと思います。実はこのことは、ソウル市外でオイカワ釣りした時にそう思いました。身近な川で普段使っているフライは、国や環境は違えど魚にとっては同じだった、ということを身を以て体験できました。
最終的には”お魚の気持ち”にならないとわからないことなのでしょうけど、”お魚の気持ち”に近いフライを見極め、そして、上手に巻けるようになりたいです・・・ (^^ゞ
farwaterさん、こんばんは。嬉しいコメントをありがとうございます!!
まさに私が想っていたことなんですが、既に日本人が忘れてしまった、いや、そもそも最初から存在していないのかもしれませんが、その”侘び寂び”について、英国人であるクレイグさんが日本人以上に感じていた、というところなんです。そこに新鮮さを感じて、和訳しよう!、と思い立ちました。
そもそもクレイグさんが極めて日本好き、というところがベースにあるのですが、日本人らしい人ってもはや日本外に居るのかも・・・? 日本の外から見るからこそ、繊細に気付ける部分があるのかもしれませんね。
英国のティータイムは、お茶以上にお菓子にfocusされているかも・・・それもお腹いっぱいになる量です。以前、ロンドン市内の英国ティータイムで当時人気のお店を訪れてみたら、なんとオーナーが日本人でした・・・アハハ (^^ゞ
jetpapaさん、こんばんは。素敵なコメントをありがとうございます!!
実は、この英文を和訳する段になって、そもそも”侘び寂び”って・・・と思って色々と調べました。特に、文中の”一汁と古着”、の部分が良くわからなくて、色々と検索してみたり、著者のクレイグさんにも直接確認してみたりしたのですが、その時のWEB検索で引っかかってきたのがjetpapaさんがおっしゃる茶道の世界でして、道具だては華美ではなく極めて質素ではあるけれど、それを、”つまらないもの”、と心から謙遜する気持ち、そして、何より物は無くても相手を思いやる気持ちは最上級であること、これが”侘び寂び”の根源にあるような気がします。
ところで、釣りは一匹ですね・・・。 ここも万国共通間違いなしですね!!
難しい
Greencherokeeさん
こんにちは。
翻訳おつかれさまでした。

難題なコメントに萎縮して今日に至る。。。(笑)

数日考えてみましたが。。。
わびさび。。。なんでしょうね。
jetpapaさんの言う他人に気を使うこと。。。まさにそんなように私も思います。

釣り人は自分以外、土地に暮らす人もいれば、それを育む自然ともちろんそこには魚達。。。すべてのことを気遣う。。。

結局私は感じることすたままなりませんが、この気遣いは大事ですよね。
逆さ毛針巻いたら少しはわかるかも。。。って思いました。
ジョニーさん、こんばんは。
アハハ・・・ (^^ゞ 萎縮しないでくださいね~♪
今回の和訳に際して、私なりに侘び寂びを調べてみましたが、物が潤沢に無くても心は更に潤沢に相手のことを思いやる・・・、って感じなのかなと思っており、まさに、ジョニーさんがおっしゃることなのかな、と思いました。
素朴な逆さ毛ばりの中に何とも言えない味わいを感じる・・・Craigさんはしっかりと侘び寂びを感じられたようですよ!
後出しジャンケンです
みんなええこと書いたはるなあ。
ランディングネットを例に出してみます。
選ぶ材は渋めがええなあと思います。
でも,渋さって暗い色ではなくて,明るくてもその中に単純でない杢目があったら,渋いんです。
ランディングネットには,大きな魚がかかった時に掬うという大命題があります。
でも,それよりも釣った魚をリリースするために写真に記録する僕たちにとっては,ランディングネットはフレームなんですね。
魚の色がぐっと生かそうと思ったら,背景の色が大切です。その色が網の色になると思います。
お茶の道のわびさびは,来客者が主人公ですからその人より派手だってはいけないという心から生まれたのでしょう。
ランディングネットは魚より目立ってはアカンと思って作っています。



リョウさん、おはようございます。
ランディングネットは写真のフレーム・・・、確かにおっしゃる通りです!!フレームの構図によって、魚の写真が更に引き立ちますよね。私の場合、フレームぎりぎりに写ってくれる魚にはなかなか巡り合えないのですが・・・ (^^ゞ
ランディングネットってシンプルな道具とは言え、その形や屈曲の度合い、木目の出方などなど、味がある道具ですよね。リョウさんのようにハンドメイドで、材質からいろいろと熟考されているネットって、本当に素敵だと思います。現在進行中のネットを拝見する日を楽しみにしています!!
ちなみに今、シンガポールに来ています。明朝の便で帰国しますが、今週末はまる潰れになってしまい釣りにも行けず・・・です (>_<)
Wa・bi・sa・bi 正直につつしみおごらず、枯淡簡素の中に醸成された造形美
Green Cherokeeさん、こんにちは。
過去記事を拝見していて、『わびさび』興味深く読ませて頂きました。

侘び寂びという言葉を聞くと真っ先に思い浮かぶものがあります。白佗助です。
蕾みが半開き程度の花を土臭い花器に生けたのがとりわけ良い。椿の葉の濃緑と花のくっきりした対比が凛としている。
花器は質素なものや竹がいい。
白佗助と融合しつつ、控え目であればいい。

和式毛鉤には凛とした美意識と主張を感じます。テールやソラックスなどは無く、色調も簡素でありながら明快な主張と割り切りがある。造形要素を極力抑えたこの割り切りこそ和式毛鉤の真髄だと思っています。
外国の方が、こういったところに侘び寂びの精神を見出されたのだと思います。

以前、私も伝統的な毛ばりを真似たフライを巻いてみましたが、ヤマメは全くダメでした。
先ず”中央部の逆さハックル”に違和感を覚えたり、ウェット感覚で流してみたり…
カタチだけそれ風にしても、似て非なるもの。浅はかな行為でございました。
numassan(さん)、こんばんは。
過去記事へのコメント、ありがとうございました。頑張って和訳した記事なので、コメントを頂けたことが本当に嬉しいです!!
白侘助ですか・・・。赤い椿と比べると全く趣が異なりますよね。質素な花器に添えることで、色のアクセントが少ない分、ディテールを愉しめるのでしょうね、きっと。まさに、わびさび、の世界ですね。
Craigが和式毛鉤にわびさびを感じたのは、まさにおっしゃる通りのポイントのようです。英国でバイスも使わず、わびさび満載の和式毛鉤を巻く西洋人・・・、そんな彼と巡り合えたのは、愛竿Blue Heron繋がりでした。人との繋がりって何がきっかけになるかわかりません。面白いですよね!!
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プロフィール

Green Cherokee

Author:Green Cherokee
東京都武蔵野市在住。S40年7月生まれ。
元より雑魚(Zacco)が大好きでちょくちょくミャク釣りを楽しんでいましたが、ひょんなことからFly Fishingに転向。安近短の里川で2011年夏よりZacco Fly Fishingをスタート。
釣りだけでなく野草やキノコも大好き。身近な里川の四季の変化を愉しみつつ、水面や地面に眼を走らせています。
愛車は、2000年式の緑色のJeep Cherokee。極めて非経済的な車で、あちこちガタが来ていますがそれでも偏愛しており、他に魅力的な車が見つからず困っています・・・

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