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滔々と水と湛える別寒辺牛湿原 ~滔々と流れる釧路川・後編~

11月6日(日)。

STBQ二日目。前日は極寒の中で『ボ』に打ちひしがれ、前夜は悔し涙を飲んだ打ち上げを終えてベッドに潜り込んだ。

気持ちも新たに起床したこの日。ずっと心配だったM氏は、夜中の凍結道路を遥々と越えて、未明には無事にホテルに到着したとのことで心底安堵。行きの車中ではM氏を中心に作戦会議。そして、行き先は別寒辺牛湿原と決定。この時点で99%『ボ』を覚悟した。

別寒辺牛湿原。日本の光景とは思えない程に雄大な景観が広がる。滔々と水を湛える湿原には巨大なイトウが生息するが、年間を通じても数本しか上がらない。終日ルアーを投じても時合はまさに一瞬。その時にたまたまイトウの鼻っ面に巧みにルアーを流すことができた者だけが貴重な魚と対面できる。

ポイントに向かう車中で、牡蠣好きのM氏を中心に盛り上がる。何故なら別寒辺牛湿原は牡蠣で有名な厚岸のすぐ近くだから。しかし、M氏やガイドのTeddyさんによれば、それ以上に『仙鳳趾』、いや・・・『仙鳳趾』よりも断然美味い『***』があると言う。生涯の中で一度は賞味してみたいものだと心底思った。

そんな愉しい車中を経てあっという間にポイントに到着。昨日も極寒だったが、当日は風があり別の意味で極寒。そんな中、J嬢とHさんが出航。元気に手を振るお二人。
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この日、J嬢は珍しく二本のタックルを用意していた。1mオーバーの巨大なイトウがかかった場合、ベイトリールよりもスピニングの方が上がる率は高いと言う。ラインの出方が自然で、結果的にスピニングに分が上がるらしい。

私は光栄にも、昨年の私の主治医になって頂いたK氏と共に出航。穏やかな口調と素敵な笑顔のK氏と共に、キリっとした冷気の中で気持ち良くロッドを振った。
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何とも雄大な景色。これぞ北の大地が育む大湿原。いきなり目の前でShinさんが小型のアメマスを上げた。静寂の川面に拍手と歓声が響いた。
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青空が出てきたが風が次第に強くなってきた。凍てつく風に手や頬を痛めつつも、雄大な光景に癒される。
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突然、M氏から電話が鳴った。『Hがやった!!』と叫んでいる。『さすがHさん、やっぱり持つものを持っている!!』、と私も歓声を上げた。

・・・が、しかし・・・

小学生時代からHさんと行動を共にしていた心優しきM氏。川底のサルベージ活動に必死・・・。Hさんが悲しむのでこれ以上の描写は避ける。敢えて一言だけ言及すれば、Hさんがここ別寒辺牛で私の目の前で見事なイトウを釣り上げた、私自身もとても愛着を感じていたタックルである・・・(号泣)
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Hさんの艇に追いついた。悲しさに心打ちひしがれて宙を見つめるHさん。『なんで、J嬢のロッドを持ってるんだよ~!?』、と傷口に塩を塗るM氏は、さすが幼馴染みが故に為せる技だろうか・・・(苦笑) そんな1コマを撮影してしまった私も私なのだが・・・(冷汗)
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実績のあるポイントにアンカーを打ち、無心にルアーを投げる。
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・・・が、もちろん反応なし。風が強く波打つ川面
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しかし、広い日本の中で、きっとこの場所でしか味わえないこのExclusiveな光景。こんな場を経験できる自分自身をシアワセだと思う。
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しかし、寒いものは寒い!! 思わずお腹の中から暖を取った。K氏とガイドのマサさんから自然に、『開高健ですね!!』、と声がかかった。昭和のあの頃の心躍るようなCMにはなかなかお目にかかれないね・・・的な話題で盛り上がった。
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沈黙を続ける二艇。
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風が強くて辛すぎる・・・ 再び出航ポイント近くに戻り風の弱い場所で小休止。そして昼食。実はここに至るまでに何気に多くの時間を要していた。
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再び、気持ちも新たに風の強いポイントへ。JR花咲線の単線ディーゼル車が颯爽と走る。ちなみに、ルパン三世で装飾された車両。原作のモンキーパンチ氏のご当地が厚岸は浜中とのこと。浜中と言えば、ムツゴロウさんの動物王国があった場所で、別寒辺牛からも至近距離。
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少しだけ立ち直ったHさんも果敢にロッドを振る。
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しかし、無情にも無反応は続く。頑張る二艇を、早くも陰り始めた陽の光が差し込む。後から聞いた話だが、M氏は何気に小型のアメマスをゲットしていた。さすが、『ボ』では絶対に帰らないツワモノのM氏。
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私は既に諦めの境地。そして、再び、開高健さんを気取って撮影。ちなみに、中学生の時に『河は眠らない』を読んで以来、開高健氏のファンである私。当時、我が父親(ちなみに釣りには興味なし)は良くもこの本を掘り当てたものだと今更ながらに感心する。
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K氏も淡々とロッドを振っている。しかし、心の中は既に半ば諦めの境地だろうか・・・。まったりモードと化した我が艇の二名を記念撮影。
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秘蔵のルアーに願をかけてみたが・・・ダメなものはダメ。ちなみに、もちろんバーブは潰してある。本当はバーブレスを使うべきだったのだが・・・慌てて船上で凍える手でバーブを潰した次第。
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残念ながら脱渓ポイントが近づいてきた。そして上陸ポイントでお世話になったボートを我が手で引っ張った。
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あれだけ強かった風も収まり、青空に生える低山の枯れ木が美しい。カメラを向けていたら、K氏が『ヤチハンノキですよ』とご丁寧に教えて下さった。激流でのカヌーを趣味とされるK氏は自然にも造詣が深い。
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ヤチと言えば、釣りキチ三平のイトウの巻きで登場する谷地坊主。谷地とは、『沢の湿地』、という意味。そしてヤチボウズとは、湿原に出現する枯れ草の造形。十数センチになるまでに10年を要するという。同じ場所で人の手が入らず自然の形そのままでヤチボウズが過ごせるような湿原に住むイトウ・・・

そんなイトウには今年も出遭えなかった。いや、出遭えないことが普通だと思う。しかし、長年続けていれば、生きている間に一尾くらいは拝めるかもしれない・・・、とも身勝手に思ったりもする。

次回へのリベンジに燃えるメンバー達(左から、Hさん、M氏、J嬢、Shinさん、K氏)。厳しかった一日の割には皆共に会話が朗らか。まるで日本とは思えない雄大な自然の中に終日身を委ねたメンバー。 例え魚に出遭えなくても、自然とこんな朗らかな気持ちになれるのかもしれない。
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そんなメンバー同士、帰りの車中でもやっぱり盛り上がる。メーターオーバーのイトウを釣ったらメンバー全員をハワイにご招待・・・とか(そのためにイトウ保険とか無いのか・・・と、かなり真剣に怯えつつ・・・!?)、70cmオーバーなら台湾で飲茶パーティーだとか・・・、とにかくあくまでも前向きに愉しいメンバーにいつも元気を頂けているような気がする。

リベンジ!!!と一年かけて心に誓った割には散々な結果だったが、これも釣りというもの。全てを真っ直ぐ受け入れて、また来年、気持ちも新たに挑戦したいと思う。

最後に、塘路の素敵なカラマツ林。紅葉のピークはとうに過ぎてしまったが、来年も素敵な時期にお邪魔させて頂きたいと思う。
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Comment
Green Cherokeeさん こんばんは

北海道で釣りしたことがなくて、ずっと憧れですね。湿原の川にボートで出てイトウを狙う、私こういうルアー釣りは好きなんです。
拝読していて思い出しました。

福島のダム湖の銀山湖、約7年毎年通いました。50オーバーのサクラマスかイワナが釣りたかったけど、大型はダメでした。
ルアーキャスティングにレイクトローリング、終日ボートの上で過ごし、湖を彷徨い続けました。
最期には魚探も使ったけど、やはり勘と運で大物は何処にいるのかと追っかけるのが愉しかった。
釣れない時や寒い時には、ラーメンやホットウイスキーで暖まりました。
5年目くらいにやっと釣れたのが我が家の剥製ニジマス57cmです。両軸リールに10cmのスリムなミノーをトローリングでね。
30m後方で掛り、ラインがヒュンヒュン音を立てローリングしていました。
まだ雪に覆われた5月上旬の湖の斜面を傷つけないようにネットに入れて釣り宿に運んだ時は嬉しかったなぁ〜

次回はイトウが釣れるといいですね。アメマスでも十分ですが…
numassan(さん)、こんばんは。
あの見事な剥製はルアーで仕留めた魚だったのですね!!
釧路川や別寒辺牛川での釣りは、何とも日本離れした光景の中で、例え魚に出遭えなかったとしても、『来て良かった!!』、と思えます。
けど、やっぱり釣れた方が断然良いです!! 理想的には、結構たくさん釣れて、少し休憩しながら大自然を眺めて愉しむ・・・なのですが、未だそういう経験ができてなくて・・・ (^^ゞ 実は昨年はそのチャンスだったのですが、何せ風邪を引いてしまって・・・ (T_T)
また来シーズンに頑張ってみたいと思います!!
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プロフィール

Green Cherokee

Author:Green Cherokee
東京都武蔵野市在住。S40年7月生まれ。
元より雑魚(Zacco)が大好きでちょくちょくミャク釣りを楽しんでいましたが、ひょんなことからFly Fishingに転向。安近短の里川で2011年夏よりZacco Fly Fishingをスタート。
釣りだけでなく野草やキノコも大好き。身近な里川の四季の変化を愉しみつつ、水面や地面に眼を走らせています。
愛車は、2000年式の緑色のJeep Cherokee。極めて非経済的な車で、あちこちガタが来ていますがそれでも偏愛しており、他に魅力的な車が見つからず困っています・・・

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